体育会だぜ。関大、本気でやらないと。【Go To 100 year 鎮勝也のマッチレポート】

 なんのためにラグビーをやるのか。


 今、関大ラグビー部の諸君に問いたい。


 好きだから。

 楽しいから。


 主はこの類であろう。


 では、なぜ体育会で続けるのか。


 サークルや学外のクラブもある。楽しさなどを追うのなら草ラグビーの方がよい。


 体育会に所属するということは、強さを追求することだ。レギュラーを獲る。選手権を目指す。頂点に立つ。それらを分かって切磋琢磨している選手が何人いるだろうか。


 10月16日、京産大戦直前の練習を見た。トレーナーから「セルフアップ」の声がかかる。主将の池原自恩は他の選手と群れることなく、少し前を見つめ、黙々とジョグを繰り返していた。試合が迫る中で、ふさわしい準備をしているのは彼だけに見えた。



 試合の結果は15-99。この失点は関西Aリーグにおけるチームワースト2位。4年前の天理大戦の116に次ぐ。この2018年は7戦全敗で8位。入替戦で摂南大に29-31と競り負け、Bリーグに降格した。今の4年生が入学前、高3の時の話である。


 これらを踏まえて、3つめの問いを投げかけたい。


 体育会所属の選手として本気で試合に勝とうと思っているのか。


 今季は開幕4連敗。すべて昨年の上位チームであり、ある意味、仕方のない部分はある。それでも本来の戦いぶりを見せたのは同大戦の1点差負けのみ。あとは60点差以上をつけられている。


 関大には専用寮がない。三度三度の食事も出ない。副顧問の桑原久佳は必死に環境改善に挑んでいるが、成績の出ない1クラブを特別に扱うことは難しい。その中で同じように寮なしでやっている野球部が明治神宮大会に出場する。秋の学生日本一を決める大会だ。関関同立など6校からなる関西学生リーグとそれに続く出場トーナメントを制した。


 世間にはそれぞれの家庭があるように、クラブもそれぞれ違う。その中で知恵を絞り、自分を律して取り組む。その差を感じて投げ出すなら、最初から体育会でラグビーをやらない方がいい。


 今のクラブ活動は大学主導になった。そのため、関大も他の関西リーグの7校も平日の練習開始時間は夕方。授業が終わってからだ。練習時間もそう変わらない。その中でバックアップに劣る関大はどうしていくのか。


 繰り返しになるが、個々の取り組みしかないのではないか。朝や昼休み、授業の空き時間はどう過ごしているのか。オフの日は。支援が手厚いチームに勝つには24時間365日、ラグビーのことを考え、実践すべきだろう。それは長い人生のたった4年である。





 お手本はいる。先輩の竹中太一だ。竹中は本気でトップレベルの選手になろうとした。体も170センチほど。リーグ戦の最高は4位。夢は一度は潰えた。それでも、諦めなかった。


 ニュージーランドに渡る。バイトをして生活費を稼ぎ、トレーニングを続けた。ついに昨年、サニックスが声をかけた。廃部後は、三重ホンダが話を持ってきてくれた。リーグワンでの戦いは三部から二部に上がった。


 先ごろ、講談社から『平尾誠二さんのこと』という本が出版された。著者の藪木宏之は神戸製鋼で、この「ミスター・ラグビー」と呼ばれた平尾に出会い、教えを受け、SOとしてその才能を開花させた。平尾は自分が属した日本代表や神戸製鋼の監督を歴任した。


 この本の中で、平尾が藪木に問う。

<総理大臣になる人はどんな人かわかるか>

藪木は分からない。平尾は答える。

<総理大臣に絶対なる、なってやる、と思っている人や。誰よりもその思いが強い人や。だから、俺は総理大臣になれない。なぜなら、なりたいと思っていないからや>


 勝ってやる、と本気で思えば、日々の生活はそれに添ってゆく。補欠の者は正選手になることを本気で目指す。そうなればチーム内闘争が生まれ、結果的にチーム力を上げることになる。


 関大の創部は1923年(大正12)。今、関西Aリーグ8チームの中で、それより古いのは12年前に作られた同大だけである。1954年(昭和29)、関西リーグの原型である同大、関学、立命、京大のオリジナル4に加わる。来年は創部100周年である。


 その歴史を胸に秘めて戦いたい。この関大は本気でやるのにふさわしいチームである。

「大学時代はラグビーをやってきました」

そう他人に胸を張って言えるように、本気でやろう。日々の練習に、自分が出る試合に、意地と誇りをぶつけよう。この2022年のシーズンはもう1か月ほどで終わる。大学の4年間以上にわずかである。


 本気で行動する者の前にのみ人生は開かれる。

           

 (文責:鎮 勝也)